厚生労働省中央社会保険医療協議会(中医協)

診療報酬はどうやって決まるのか 中医協・社会保障審議会・予算編成の役割分担と、令和8年度改定の実例

省庁
厚生労働省
会議体
中央社会保険医療協議会(中医協)

ポイント

  • 保険診療の費用の額(診療報酬の点数)は、健康保険法にもとづいて厚生労働大臣が定めます。大臣は定めようとするとき、中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問します。
  • 改定の方向性は社会保障審議会の医療保険部会・医療部会が「基本方針」としてまとめ、改定の幅(改定率)は年末の予算編成の過程で示されます。中医協はこの2つにもとづいて個別の点数を審議し、答申します。
  • 令和8年度改定では、基本方針が2025年12月9日、予算大臣折衝が12月24日、諮問が2026年1月14日、答申が2月13日、告示が3月5日で、診療報酬は6月1日から適用されています。

中医協とは(社会保険医療協議会法)

中医協は、社会保険医療協議会法(昭和25年法律第47号)で厚生労働省に置かれている会議体です。

厚生労働省に、中央社会保険医療協議会(以下「中央協議会」という。)を置く。

(出典:社会保険医療協議会法 第1条第1項)

役割は、大臣の諮問に応じた審議・答申と、自ら行う建議です。

中央協議会は、次に掲げる事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて審議し、及び文書をもつて答申するほか、自ら厚生労働大臣に、文書をもつて建議することができる。

(出典:社会保険医療協議会法 第2条第1項)

審議する事項として第1号に挙げられているのが、健康保険法第76条第2項の規定による定めなどです。第76条第2項は、次の規定です。

前項の療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。

(出典:健康保険法 第76条第2項)

大臣がこの定めをしようとするときに中医協へ諮問することは、健康保険法第82条第1項に書かれています。

第六十三条第二項第三号若しくは第五号若しくは第七十六条第二項(これらの規定を第百四十九条において準用する場合を含む。)の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。

(出典:健康保険法 第82条第1項の後半部分)

委員の構成

委員は20人で、3つの立場に分かれています。

中央協議会又は地方協議会は、それぞれ、次に掲げる委員二十人をもつて組織する。

一 健康保険、船員保険及び国民健康保険の保険者並びに被保険者、事業主及び船舶所有者を代表する委員七人

二 医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員七人

三 公益を代表する委員六人

(出典:社会保険医療協議会法 第3条第1項)

中央協議会の公益を代表する委員の任命については、両議院の同意を得なければならない。

(出典:社会保険医療協議会法 第3条第6項)

同法では、委員の任期は2年で1年ごとに半数を任命すること(第4条)、会長は公益を代表する委員の中から委員が選挙すること(第5条)、6か月に1回以上開くこと(第6条)も定められています。中医協の議事録には、委員の発言の中で「1号側」「2号側」という呼び方が出てきます(例:第644回総会議事録)。2025年12月10日の第634回総会では「令和8年度診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について」が議題になっています。

決まるまでの流れ

  1. 社会保障審議会の医療保険部会・医療部会が基本方針をまとめる(12月上旬)改定の基本認識と、重点課題などの方向性を示します。例: 令和8年度改定の基本方針は2025年12月9日(令和7年12月9日)付。中医協では12月12日の第635回総会の議題になりました。
  2. 予算編成の過程で改定率が示される(12月下旬)予算大臣折衝を踏まえ、厚生労働省が「診療報酬改定について」で本体・薬価等の改定率と施行時期を示します。例: 令和8年度は12月24日。12月26日の第639回総会の議題に「令和8年度診療報酬改定の改定率等について」があります。
  3. 厚生労働大臣が中医協に諮問する(1月)根拠は健康保険法第82条第1項などです。例: 2026年1月14日(令和8年1月14日)、第641回総会で諮問(厚生労働省発保0114第1号)。同じ日に「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」が示されました。
  4. 意見募集と公聴会(1月)「これまでの議論の整理」への意見をインターネットで募集し、公聴会を開きます。例: 意見募集は1月14日〜1月20日で、寄せられた意見は5,808件。公聴会は1月21日(第643回総会)。結果は1月30日の第646回総会で報告されています。
  5. 個別改定項目を審議する(1月下旬〜2月)事務局が整理した改定項目を中医協で議論します。例: 1月23日(その1)、1月28日(その2)、1月30日(その3)。1月28日と1月30日には答申書の附帯意見案も議題になりました。
  6. 中医協が答申する(2月)点数表などの改正案を答申し、附帯意見を付けます。例: 2月13日の第647回総会で答申。附帯意見は26項目です。
  7. 告示・通知(3月)厚生労働大臣が告示で点数表を改正し、算定上の留意事項を通知で示します。例: 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)は3月5日付で、制定文に令和8年6月1日から適用すると書かれています。留意事項の通知も3月5日付(保医発0305第6号)です。
  8. 施行(6月)令和6年度改定から、施行時期は6月1日とされています。例: 令和8年度改定の診療報酬は令和8年6月施行、薬価は4月施行です。

各段階の根拠と、令和8年度改定の資料

諮問は「改定率」と「基本方針」にもとづく

令和8年1月14日の諮問書は、答申を2つの文書にもとづいて行うよう求めています。

なお、答申に当たっては、別紙1「診療報酬改定について」(令和7年12 月 24 日)及び別紙2「令和8年度診療報酬改定の基本方針」(令和7年12 月9日社会保障審議会医療保険部会・社会保障審議会医療部会)に基づき行っていただくよう求めます。

(出典:中医協 総-8「諮問書(令和8年度診療報酬改定について)」令和8年1月14日)

中医協が同じ日に示した意見募集の資料(案)では、この関係が次のように説明されています。

昨年末の予算編成過程で決定された改定率と、社会保障審議会医療保険部会・医療部会において策定された「令和8年度診療報酬改定の基本方針」に基づいて診療報酬点数の改定案を作成するよう、諮問が行われました。

(出典:中医協 総-11「「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」に関するご意見の募集について」(案)令和8年1月14日)

基本方針(社会保障審議会)

基本方針は、社会保障審議会医療保険部会と医療部会の連名で、令和7年12月9日付で出されています。中医協の「これまでの議論の整理」は、項目立てをこの基本方針に合わせています。

なお、項目立てについては、令和7年 12 月9日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会においてとりまとめられた「令和8年度診療報酬改定の基本方針」を踏まえて行っている。

(出典:令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(令和8年1月14日)【留意事項】)

令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要。改定に当たっての基本認識4点と、物価や賃金・人手不足への対応(重点課題)、2040年頃を見据えた機能分化・連携、安心・安全で質の高い医療、効率化・適正化の4つの基本的視点と具体的方向性を並べた図
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要」

改定率(予算大臣折衝)

厚生労働省の「診療報酬改定について」(令和7年12月24日)は、予算大臣折衝を踏まえた内容です。

12 月 24 日の予算大臣折衝を踏まえて、令和8年度の診療報酬改定は、以下のとおりとなった。

1.診療報酬

+3.09%(令和8年度及び令和9年度の2年度平均。令和8年度+2.41%(国費 2,348 億円程度(令和8年度予算額。以下同じ。))、令和9年度 +3.77%)

(注)令和8年6月施行

(出典:診療報酬改定について(令和7年12月24日大臣折衝事項)1ページ)

同じ文書では、診療報酬の改定率の内訳(賃上げ分、物価対応分など)と各科改定率(医科・歯科・調剤)も示されています。

令和7年12月24日大臣折衝事項のまとめ。診療報酬プラス3.09%(2年度平均)の内訳として賃上げ分、物価対応分、食費・光熱水費分、緊急対応分、効率化分、各科改定率を示し、薬価等マイナス0.87%と施行時期、診療報酬制度関連事項・薬価制度関連事項を並べた図
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」3ページ

中医協での審議(意見募集・公聴会・個別改定項目・答申)

意見募集は、第646回総会の資料によると、令和8年1月14日から1月20日まで厚生労働省ホームページで告知し、インターネットの意見提出フォームで受け付けました。寄せられた意見は5,808件です。公聴会の目的は、次のように書かれています。

令和8年度診療報酬改定に当たり、医療の現場や患者等国民の声を反映させるため、中医協委員が国民の声を聴く機会を設定することを目的として公聴会を開催した。

(出典:中医協 総-2-2「中央社会保険医療協議会総会(公聴会)の概要」令和8年1月30日)

同じ資料によると、公聴会は1月21日10時〜12時にハイブリッドで開かれ、石川県を中心とした北陸の意見発表者10名がオンラインで参加し、YouTubeでライブ配信されました。

事務局が整理した改定項目は「個別改定項目」として示され、議事録では「いわゆる短冊」とも呼ばれています。

本日は、このいわゆる短冊について議論したいと思います。

(出典:中央社会保険医療協議会 総会 第644回議事録(令和8年1月23日)小塩会長の発言)

答申は、諮問への回答として改正案を示す形で行われています。

令和8年1月 14 日付け厚生労働省発保 0114 第1号をもって諮問のあった件について、別紙1-1から別紙9までの改正案を答申する。

(出典:中医協 総-2「答申書(令和8年度診療報酬改定について)」令和8年2月13日)

答申書には「答申書附帯意見」が付いており、令和8年度改定では「全般的事項」「物価対応」「賃上げ」など26項目が挙げられています。

施行時期が6月になった経緯

施行時期を6月1日とすることは、令和6年度改定の基本方針に書かれています。

また、診療報酬改定 DX の推進に向け、医療機関・薬局等やベンダの集中的な業務負荷を平準化するため、令和 6 年度診療報酬改定から施行時期を6月1日とする。

(出典:令和6年度診療報酬改定の基本方針(令和5年12月11日 社会保障審議会医療保険部会・医療部会)3ページ)

令和6年度改定の大臣折衝事項(令和5年12月20日)でも、診療報酬本体は「令和6年6月施行」、薬価等は「令和6年4月施行(ただし、材料価格は令和6年6月施行)」とされています。令和6年度改定の各段階の日付は、基本方針が令和5年12月11日、大臣折衝事項が12月20日、諮問が令和6年1月12日、答申が2月14日です(厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」)。

薬価改定の扱い

薬価(薬の公定価格)と材料価格も、予算大臣折衝で改定率と施行時期が示されます。令和8年度は次のとおりです。

2.薬価等

薬価 ▲0.86%(国費▲1,052 億円程度)

材料価格 ▲0.01%(国費▲11 億円程度)

合計 ▲0.87%(国費▲1,063 億円程度)

(注)令和8年4月施行(ただし、材料価格は令和8年6月施行)

(出典:診療報酬改定について(令和7年12月24日大臣折衝事項)3ページ)

2年に1回の薬価調査の間の年の薬価改定については、平成28年12月20日の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に次の記載があり、令和7年度薬価改定の骨子(案)でも引用されています。

市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するため、全品を対象に、毎年薬価調査を行い、その結果に基づき薬価改定を行う。そのため、現在2年に1回行われている薬価調査に加え、その間の年においても、大手事業者等を対象に調査を行い、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行う。

(出典:中医協 薬-1「令和7年度薬価改定の骨子(案)」令和6年12月25日。「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」(抄))

令和8年度改定の大臣折衝事項には、令和9年度の薬価改定についての記載があります。

さらに、上記3.①を踏まえ、令和9年度の薬価改定を着実に実施する。

(出典:診療報酬改定について(令和7年12月24日大臣折衝事項)5ページ)

中医協では、薬価専門部会などの議論を経て、令和7年12月26日の第639回総会に「令和8年度薬価制度改革の骨子(案)」が示され、令和8年1月16日の第642回総会で「令和8年度薬価制度の見直しについて」が議題になっています。

議事録・資料の公開場所

  • 中医協総会: 厚生労働省の「中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)」のページに、回数・開催日・議題と、「議事録/議事要旨」「資料等」へのリンクが並んでいます。第619回以前など古い回は、同じページの末尾から別ページに分かれています。
  • 議事録は会議の後に掲載: 2026年9月12日に確認した時点で、第656回(9月9日)と第655回(8月26日)の議事録欄は「-」でした。意見募集の資料(案)にも次の記載があります。

当協議会の議論の内容については、後日、厚生労働省のホームページに議事録等が掲載される予定です。

(出典:中医協 総-11(案)令和8年1月14日)

  • 公聴会: 令和8年度改定の公聴会はYouTubeの中医協動画チャンネルでライブ配信されました(第646回総会資料「公聴会の概要」)。
  • 改定全体の資料:令和8年度診療報酬改定について」のページに、基本方針、大臣折衝事項、議論の整理、諮問・答申の各ページ、告示・通知、疑義解釈がまとめて掲載されています。
  • 基本方針: 社会保障審議会(医療部会)の「令和8年度診療報酬改定の基本方針」のページに、本文と概要のPDFがあります。

出典