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パブリックコメント(意見公募手続)はどう使われ、意見は結果にどう反映されるのか
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ポイント
- パブリックコメント(意見公募手続)は行政手続法第6章(第38条〜第45条)の手続で、政令・省令・告示などの「命令等」を定める前に案を公示し、原則30日以上の期間を設けて意見を求めます。
- 定めた機関は提出意見を十分に考慮し、公布と同時期に「提出意見を考慮した結果」とその理由を公示します。e-Govの結果公示には「提出意見を踏まえた案の修正の有無」の欄があります。
- 総務省の調査結果(平成31年3月)では、平成29年度分で提出意見を考慮して案を修正したものは795件中169件(21.3%)でした。
根拠の法律:行政手続法の「意見公募手続等」
総務省とe-Govの説明によると、意見公募手続は平成17年(2005年)6月の行政手続法改正で設けられ、それまでは平成11年の閣議決定に基づく「意見提出手続」として行われていました。
対象は「命令等」で、第2条第8号は次のように定めています。
八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。
イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則
(出典:行政手続法 第2条第8号)
同号はこのほか、ロ審査基準、ハ処分基準、ニ行政指導指針を挙げています。e-Govの「パブリック・コメント制度について」では、政令、府省令、処分の要件を定める告示、審査基準、処分基準、行政指導指針の6つとして説明しています。
地方公共団体の機関が命令等を定める行為には第6章は適用されず(第3条第3項)、地方公共団体には法律の趣旨にのっとって必要な措置を講ずる努力義務があります(第46条)。
手続の流れと根拠条文
- 案の公示(第39条第1項・第2項、第45条)命令等を定める機関(命令等制定機関)が、案と関連資料を公示し、意見の提出先と意見提出期間を定めます。案は具体的かつ明確な内容で、題名と根拠となる法令の条項を明示します。e-Govの説明では、公示は総務省告示によりe-Govのウェブサイトで行うこととされています。
- 意見提出期間(第39条第3項、第40条第1項)公示の日から起算して30日以上。やむを得ない理由があれば30日を下回る期間にでき、その場合は公示の際に理由を明らかにします。
- 提出意見の考慮(第42条)期間内に提出された意見を十分に考慮します。
- 命令等の制定・公布政令・省令・告示などとして公布されます(公布をしないものは「公にする行為」)。命令等を定めないこととした場合は、その旨などを速やかに公示します(第43条第4項)。
- 結果の公示(第43条第1項〜第3項、第45条)公布と同時期に、題名、案の公示の日、提出意見、提出意見を考慮した結果とその理由を公示します。提出意見は整理・要約したものに代えられ、その場合は後で提出意見を事務所への備付けなどで公にします(第43条第2項)。
第三十九条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。
(出典:行政手続法 第39条第1項)
3 第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以上でなければならない。
(出典:行政手続法 第39条第3項)
第四十二条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見(以下「提出意見」という。)を十分に考慮しなければならない。
(出典:行政手続法 第42条)
第四十三条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布(公布をしないものにあっては、公にする行為。第五項において同じ。)と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。
一 命令等の題名
二 命令等の案の公示の日
三 提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
四 提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由
(出典:行政手続法 第43条第1項)
総務省の図では、「提出意見を考慮の上、修正があるか?」で分かれ、修正がある場合は「修正点・意見に対する行政機関の考え方」を公示する流れが示されています。
「考慮」について、e-Govは次のように説明しています。
また、パブリック・コメント制度では、提出された意見の「量」ではなく「内容」を考慮します。同一内容の意見が多数提出された場合であっても、その数が考慮の対象となる制度ではありません。
(出典:e-Govパブリック・コメント「パブリック・コメント制度について」)
意見公募手続をしなくてよい場合
- 適用除外(第3条第2項、第4条第4項):法律の施行期日を定める政令、公務員の給与・勤務時間などの勤務条件を定める命令等、国や地方公共団体の機関の組織・予算・会計について定める命令等などには、第6章が適用されません。
- 例外(第39条第4項):公益上緊急に定める必要があるとき、他の行政機関が意見公募手続をして定めたものと実質的に同一のとき、他の法令の改廃に伴う規定の整理などの軽微な変更として政令で定めるものなど、8つの場合があります。この場合は、公布と同時期に題名・趣旨と、手続をしなかった旨・理由を公示します(第43条第5項)。e-Govでは「行政手続法に基づく手続(第39条第4項該当による結果の公示等)」として載り、例えば国税庁の法令解釈通達の一部改正(案件番号410080060、2026年9月11日)では、第39条第4項第8号の軽微な変更に該当するため実施しなかったと理由が書かれています。
- 委員会等が準じた手続をしたとき(第40条第2項):命令等制定機関は自ら意見公募手続をしなくてよいとされています。
法律に基づかない「任意の意見募集」
前述の例外事項に当たるものや、そもそも「命令等」に該当しないものであっても、各行政機関の任意により行政手続法の規定に準じたパブリック・コメントが実施されています。この場合の公示方法は、必ずしもe-Govを利用して実施されるとは限りませんが、e-Govを利用する場合には、「任意の意見募集」の案として掲載されます。
(出典:e-Govパブリック・コメント「パブリック・コメント制度について」)
どちらなのかは、e-Govの案件ページの「行政手続法に基づく手続か」の欄で確認できます。総務省の図でも、任意のものは「(任意のパブコメ)」「(任意の結果公示)」として、法律上の手続とは別の枠で描かれています。例えば環境省の「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」改定案(案件番号195260001)はこの欄が「任意の意見募集」で、2026年9月11日の結果公示では提出意見数55件、「提出意見を踏まえた案の修正の有無」は「有」です。
意見の出し方
パブリック・コメントに対する意見の提出方法は、案件ごとに個別に定められています。 意見募集案件詳細画面の「意見募集要領」で提出方法を確認できます。
(出典:e-Govパブリック・コメント「よくあるご質問(FAQ)」)
実際の要領でも、案件ごとに違いがあります。
| 案件 | 提出方法 | 氏名・連絡先など |
|---|---|---|
| 公営住宅法施行令の改正案(国土交通省) | e-Govの意見提出フォーム、電子メール、郵送 | 氏名・住所、連絡先を明記 |
| 保険会社向けの総合的な監督指針の改正案(金融庁) | 郵便、インターネット(e-Gov) | 氏名、職業、連絡先、理由を付記 |
| 食品の規格基準の告示案(消費者庁、募集は終了) | e-Govの意見提出フォーム、郵送 | 意見以外は任意記載 |
3件とも、電話による意見は受け付けず、個別の回答はしないとしています。e-Govのヘルプでは、フォームの入力は1意見あたり6000文字まで、添付ファイルは4MBまでとされています。
結果の公示:意見の扱いはどこでわかるか
結果はe-Govの「結果公示案件一覧」に載ります(2026年9月12日の取得時点で5,296件)。各案件のページには、命令等の公布日、提出意見数、「提出意見を踏まえた案の修正の有無」の欄と、「結果概要」(提出意見・意見の考慮・結果・理由等)の資料があります。
例1:意見を受けて案が修正された例(消費者庁・食品の残留農薬基準)
消費者庁は2026年6月11日、「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する告示(案)」(農薬キノクラミン等5品目の残留基準の改正)について、行政手続法に基づく意見募集を始めました(案件番号235110031、受付は7月10日23時59分まで)。公示時の概要には、施行期日が次のように書かれていました。
施行期日:告示日(ただし、基準値を引き下げる品目等(クロルピリホスを除く。)については、告示の日から起算して1年を経過した日から施行する。クロルピリホスに係る改正規定は、令和8年 12 月頃から施行する。)
(出典:消費者庁「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する告示(案)」(農薬(キノクラミン等5品目)の残留基準の改正)について(概要)「4.施行期日等」)
結果は2026年9月10日に公示され、告示(令和8年内閣府告示第114号)の公布日も同じ日です。意見は46件(うちクロルピリホスに関するもの42件)で、「提出意見を踏まえた案の修正の有無」は「有」です。数年間の経過措置を求める意見などに対し、消費者庁は結果の別添で次のように回答しています。
今般、いただいた御意見等を踏まえ、原則として告示の日に施行することとした一方、基準値を引き下げる品目については、他の農薬と同様に、施行期日を「告示の日から起算して一年を経過した日」とすることとしました。また、施行日前に製造等された食品について、一定の経過措置を設けることとしました。
(出典:消費者庁「…残留基準の改正)に関する御意見の募集の結果について」別添「クロルピリホスに係る御意見」【回答1】)
同じ回答では、ストックホルム条約の発効(令和8年12月16日)に合わせて施行することとして意見を募集した経緯も説明されています。
例2:案の修正が「無」だった例(厚生労働省・厚生年金保険法施行規則等)
「厚生年金保険法施行規則及び健康保険法施行規則の一部を改正する省令案」(案件番号495260059)は、2026年5月22日に案が公示され、提出意見は7件、9月11日に結果公示と公布が行われました。修正の有無は「無」です。結果概要では、障害のある人への周知に関する意見について、今後の周知方法の検討の参考にするとしています。残りは次のとおりです。
※上記のほか、6件の今回の意見募集に関係ない御意見をいただきました。
(出典:厚生労働省年金局事業管理課 同省令案に関する意見募集の結果について)
総務省の調査でみる実施状況
総務省の施行状況調査の一覧ページ(2026年9月12日確認)で最も上にあるのは、平成31年3月の「行政手続法(意見公募手続)の施行状況に関する調査結果」(平成28・29年度分)です。
| 項目 | 平成28年度 | 平成29年度 |
|---|---|---|
| 意見公募手続等の件数 | 939件 | 999件 |
| 意見提出期間が30日以上 | 880件(93.7%) | 947件(94.8%) |
| 提出意見があったもの | 732件(78.0%) | 804件(80.5%) |
| 提出意見の総数 | 26,483 | 47,932 |
| 提出意見を考慮して案を修正 | 123件(714件中17.2%) | 169件(795件中21.3%) |
平成 29 年度公布の命令等に係る意見公募手続等で結果の公示を行った 991 件のうち、提出意見があった 798 件から最終的に命令等を定めなかった 3 件を除いた 795 件について、提出意見の反映状況をみると、提出意見を考慮して命令等の案を修正したものは 169 件(21.3%)であった。
(出典:総務省「行政手続法(意見公募手続)の施行状況に関する調査結果」(平成31年3月)第2 Ⅱ 1(5)イ)
同じ調査では、e-Govで結果を公示していなかった案件(平成28年度9件、平成29年度8件)があり、主な理由はホームページや報道発表で公表したがe-Govでの公示について担当者の認識不足があったことなどとされています。
このサイトで扱った案件は、いまどの段階か
2026年9月12日の確認時点で、次の2件はいずれも流れの2段階目(意見提出期間)で、e-Govの「行政手続法に基づく手続か」の欄は「行政手続法に基づく手続」です。
- 公営住宅法施行令の改正案(国土交通省):案の公示日は2026年9月10日、受付締切日時は10月11日0時0分(要領では10月10日必着)。国土交通省の概要では、公布は令和8年(2026年)11月上旬の予定とされています。
- 保険会社向けの総合的な監督指針の改正案(金融庁):案の公示日は2026年9月11日、受付締切日時は10月13日17時0分。金融庁の公表ページでは、意見募集の終了後、所要の手続を経て適用開始の予定とされています。
命令等を定めたときは、第43条第1項により公布(公布をしないものは公にする行為)と同時期に結果を公示することとされ、e-Govの説明では、結果の公示も案の公示と同じくe-Govのウェブサイトで行われます。
出典
- e-Gov法令検索「行政手続法」(平成5年法律第88号)第2条〜第4条・第38条〜第46条(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント「パブリック・コメント制度について」(2026年9月12日取得)
- 総務省「意見公募手続(いわゆるパブコメ(パブリック・コメント))の概要」(2026年9月12日取得)
- 総務省「意見公募手続等の事務処理手続の流れ」(意見公募手続の概要図・意見公募手続等の事務処理手続図)(2026年9月12日取得)
- 総務省「行政手続法(意見公募手続)の施行状況に関する調査結果」(平成31年3月、平成28・29年度調査結果)(2026年9月12日取得)
- 総務省「行政手続法の施行状況に関する調査結果」(一覧)(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント ヘルプ「よくあるご質問(FAQ)」(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント ヘルプ「意見入力」(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント「結果公示案件一覧」(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント 結果公示「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する告示(案)」(農薬(キノクラミン等5品目)の残留基準の改正)(案件番号235110031)(2026年9月12日取得)
- 同案件 公募時の画面(案件番号235110031)(2026年9月13日取得)
- 消費者庁「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する告示(案)」(農薬(キノクラミン等5品目)の残留基準の改正)について(概要)(令和8年6月11日)(2026年9月13日取得)
- 消費者庁 同告示案に関する御意見の募集について(意見公募要領、令和8年6月11日)(2026年9月13日取得)
- 消費者庁 同告示案に関する御意見の募集の結果について(令和8年9月10日)(2026年9月12日取得)
- 消費者庁 同結果の別添(御意見の概要と回答)(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント 結果公示「厚生年金保険法施行規則及び健康保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集の結果について」(案件番号495260059)(2026年9月12日取得)
- 厚生労働省年金局事業管理課 同省令案に関する意見募集の結果について(結果概要、令和8年9月11日)(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント 結果公示「『我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト』改定案に対する意見の募集(パブリック・コメント)の結果について」(案件番号195260001)(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント 結果公示「『国税電子申告・納税システムに関する届出書等の様式の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」(案件番号410080060)(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント「公営住宅法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集について」(案件番号155260721)(2026年9月12日取得)
- 国土交通省住宅局 公営住宅法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集について(意見募集要領、令和8年9月10日)(2026年9月12日取得)
- 公営住宅法施行令の一部を改正する政令案について(概要)(国土交通省住宅局住宅総合整備課、令和8年9月)(2026年9月12日取得)
- e-Govパブリック・コメント「『保険会社向けの総合的な監督指針』の一部改正(案)の公表について」(案件番号225026063)(2026年9月12日取得)
- 金融庁「『保険会社向けの総合的な監督指針』の一部改正(案)の公表について」(令和8年9月11日)(2026年9月12日取得)